機関紙(TUTTI) | 軽井沢シンフォニックコーラス

浅間山紫

機関紙(TUTTI) | 軽井沢シンフォニックコーラス

REPERTOIRE OF KARUIZAWA SYMPHONIC CHORUS
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軽井沢シンフォニックコーラス

TUTTI  第12号     2020.1.10

 

 

 今 年 の 冒 険          寺田和佳子

 


選曲には歌い手である合唱団員にも様々な好みがあることは承知しています。今回の選曲についても悩みましたが、以前から変わることのないポイントは、この合唱団の実力よりも少し難易度が高いものを選ぶことです。

決して、「歌うことだけで満足感を味わう合唱団であって欲しくない」と思います。

少しでも、合唱団の成長があるもの。声に負担をかけず、伸びやかな声でハーモニーを楽しめる作品を選ぶように心掛けています。

さて、今回の作品はフランス民謡を特集してみました。

「どこかで聞いたことがあるものの、これフランス民謡だったの?」と驚かれるような作品。

ただ、一筋縄ではいかない点は、言葉も曲もわかるのにリズムが何となくややこしく感じるところ。(本当は、歌い手の思い込みが影響しているだけですが・・・)

もう一つは、メロディーを歌っていると、聞いたことがある異なるメロディーがピアノ伴奏に出てくるところです。

 

まず「小さな木の実」についてお話ししましょう!

この曲は民謡ではないですが、原曲はフランス人作曲家ビゼーの歌劇に出てくる曲で、恋人の窓辺で歌う愛のセレナードなんです。

しかし、日本人作曲家がクラッシックを元に歌を作ろうと編曲し、原曲とは全く異なる内容で「小さな木の実」を作詞家に依頼しました。父を亡くした少年の物語風な詩をつけてNHKで放送されたのが私が生まれる2年ほど前、1971年の頃です。

この作品、メロディーは綺麗で覚えやすいのですが、日本人の苦手な三連譜が出てきます。最初の音形だけが跳躍しますが、その後は隣の音に動く程度で、息を常に出す練習ができる曲です。それを心がけて練習してみてください。

メロディーに慣れたら今度は伴奏に慣れましょう!

伴奏は同じくビゼーが作曲した歌劇「カルメン」の中のハバネラのリズムが出てきます。ハバネラのリズムにある休符が作るひっかかった感じが、歌には出ないように歌いましょう。あくまでも、喉で息を止めずに常に出したまま歌うことを目標にしましょう。それができたらピアノの伴奏が違うメロディーでも怖くないですよ。

 

2曲目は軽快でコミカルな「クラリネットをこわしちゃった」

これは、みなさんがクラリネットを壊した子どもの気持ちや、怒りモードの父親になり切れるか?が鍵です。音にならない落胆する声、怒鳴り上げる声を思い切り、恥ずかしがることなく演じることを楽しみましょう。

 

そして最後は「きらきら星」

元はフランスのシャンソンで、恋人への想いを母親に打ち明ける内容です。しかしこれに異なる英語の歌詞がつけられたものを皆さんはご存知なのでは?

譜面を見ると9/8拍子で数え方がわからない!と思いがちですが、3拍子を体で感じて、しっかり息を出すことを意識するとリズムは苦にならなくなります。

一番厄介なのは、フランス人作曲家ドビュッシーが作曲した「月の光」が背後で鳴っているという点。

編曲者の遊び心で「星と月」でコラボレーションさせたようです。

前奏でしっかり3拍子のテンポを把握し、たとえ歌い出す前にゆっくりになったとしても、指揮をみてテンポ感を素早く感じ取ることです。そのためには早めに楽譜を読み込み、顔を上げて歌えるようになりましょう。

曲の最後は、やはりフランス人作曲家ラヴェルのボレロ。男声は声が非常に高いのでつらいかと思います。

この曲については、取り組もうか迷った曲です。少し冒険ですがお付き合いください。


 

 

遠い国物語(1)「密入国」             真﨑隆治  

 


 「フランスは遠い」、と思った。なにせあの萩原朔太郎ほどの人が、

  ふらんすへ行きたしと思へども

  ふらんすはあまりに遠し

と言っているのだから、遠いに決まっている。それに、北杜夫も、小澤征爾も、船でインド洋をわたり、紅海をさかのぼり、地中海にはいり、やっとフランスのマルセイユに到着しているのだ。これは遠い。とても僕などの及ぶところではない。

 それがなにかのはずみにフランス政府給費留学生になり、1975年1月、フランスへ行くことになった。シベリアの上空を飛びこえ、わずか12時間ほどでもうパリだ。これは近い。先達(せんだつ)たちに申し訳ない。留学先はフランスの最東部、ドイツとの国境にあるストラスブール市にある大学である。

 はじめての飛行機、はじめての海外旅行となれば、緊張しないわけがない。滑走路を走り、機体が地面から離れ、瞬間、あっどうしようと思った。いま足もとにはなにもない。その感覚は奇妙な空虚感となり、地面にしがみつきたい気分になる。だが、非情な飛行機はお構いなく急角度で上昇する。やがて眼下に地上の景色が広がる。この離陸の一瞬のスリルが僕を飛行機のとりこにしたと言っていい。その後は離陸と着陸のときが飛行機のなによりの楽しみになった。このまま飛行機での話をしていると、それこそフランスが遠くなってしまう。パリに着陸した時に話を戻そう。

  到着時刻は夜の8時半頃だったか。ほかの乗客たちと通路をぞろぞろ歩く。「ああ、ここはパリなのだ。日本じゃない」などと役にもたたぬ感慨にふけりながら歩く。ふと気がつくと、一緒に歩いていた人の数がやけに少ない。変だな、と思ううちに独りになり、どうやら外に出てしまった気配だ。「あれ?」。いかに感慨にふけろうと、税関を見落とすわけはない。これでは密入国じゃないか!

 辺りにはもう誰もいない。国際空港であれば、バスやタクシーや電車などがうるさいほどあるはずなのに、がらんとして案内一つ見あたらない。困った。まして犯罪者になって暗い夜の街をうろつくわけにはいかないではないか。するとパトロールの警官が歩いてくるのが見えた。ふたりともフランス人にしてはすらりと背が高く、淡いブルーの制服にしゃれた帽子をかぶって、フランス映画の一シーンのようで格好いい。逮捕される危険をおかしても、なによりもまずこの心細さから抜けだすことだ。

 「すみません。税関で入国手続きしないうちに外に出てしまったらしいのですが、税関はどこでしょうか?」

 「それは遠来のお客様に失礼いたしました。どうぞそのままお行きください。」

 「えっ、このままでいいのですか?」

 「結構です。どうぞ。」

 こうして狐につままれたような思いで、僕はフランスへの第一歩を密入国者として踏み出すことになった。

  蛇足ながら、僕の降り立ったオルリー空港での日本便使用はこの直後廃止され、シャルル・ド・ゴール空港に移管されている。


 

 

  🔹編集後記🔹 

☆今年の課題曲について、寺田先生から原稿をいただきました。自習復習~がんばりましょう~

☆「遠い国物語」はTUTTI創刊者の真﨑団長の新連載! 構想では10回ほどの連載になるようです。第1回は、フランスに密入国! 続きを早く読みたいと思われた方、ご安心下さい。次号は来週17日の発行予定です。

☆今後も皆様に「原稿依頼」突撃します。順ぐりの災難(涙)でしょうが、御協力お願いいたします。(岡田)

 

  🔹2020年 練習日🔹 すべて金曜日 借宿公民館 19時~21時

 

1月10日 17日 24日

2月  7日 14日 21日

3月  6日 13日 27日

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