機関紙(TUTTI) | 軽井沢シンフォニックコーラス

浅間山紫

機関紙(TUTTI) | 軽井沢シンフォニックコーラス

REPERTOIRE OF KARUIZAWA SYMPHONIC CHORUS
号番号をクリックすると、その号へ移動できます。

ただいま整形中でご迷惑をおかけします。読みづらい場合は、PDF版をご覧ください

軽井沢シンフォニックコーラス

TUTTI  第33号     2021.10.20

 

遠い国物語(11)アルザス魂    真﨑 隆治(バス)

 


 どの国にも歴史がある。アルザスは国ではなく一地方にすぎない。しかしそこにも複雑な歴史があった。紀元前70年頃にローマ帝国がアルザス地方を侵略し、そこのある町を「白銀(しろがね)の都」と名づけて拠点にした。今のストラスブールである。それ以来2000年ものあいだヨーロッパのほぼ中心に位置するアルザスは激動の波にもまれ続けることになった。その変遷を語るのは本文の使命ではない。ここでは近世からの流れをごくかいつまんで紹介するにとどめる。

狭いながらも肥沃な土地であり交通の要所でもあったアルザスを、権力者たちが自国の領土に加えようとするのは当然であろう。そこに地理的特徴をあわせてみると、アルザスはライン川とヴォージュ山脈にはさまれた土地である。大河も山脈も国境線をひきやすい地形だ。その西側にフランス、東側にドイツという大国が育ちつつあった。となればアルザスはすでにして両国の争奪戦の巷(ちまた)となる運命にあったといえる。

ローマ撤退後、アルザスはやがてドイツに変貌していくほうの国に属していた。そこを17世紀にフランスが占領してライン川を国境とし、アルザスはフランスのものになった。18世紀の後半、ドイツになる直前であったプロシャがフランスに勝利し、アルザスはヴォージュ山脈を境にドイツとなった。19世紀はじめの第一次世界大戦でドイツが敗北し、ライン川が国境になった。第二次世界大戦でヒトラーのドイツがアルザスを占領。国境はいうまでもなくヴォージュ山脈になる。それも束の間に大戦終了とともに国境はライン川に戻り、アルザスはフランスとなって今日にいたっている。

このようにドイツからフランス、フランスからドイツ、またフランス、ドイツ、フランスと目まぐるしく同じ土地の国名が変わったところはそうあるものではない。住人はどちらの国になっても同じ人間である。さらに厄介なのは、国が変わるたびに支配者の国の言葉を強制されたことである。そうしたなかでアルザスの人々は鍛えられ、自分自身の一貫性を守り抜いてきた。そこからアルザス魂とでもいえるものが育ってくる。自分たちはドイツ人でもフランス人でもなく、アルザス人なのだという強固な自意識である。それはどこから生まれたのかといえば、言葉からである。

 ローマが占拠していた時代、4世紀頃にゲルマン大移動という歴史的な民族移動がおこり、ローマ人を駆逐した。アルザスにはその一支族であるアレマン族の一部がとどまり、彼らの用いていた言葉がアルザスの言語、すなわちアルザス語になった。それはどのような言語であり、今日に至るまでどのような道筋をたどりアルザスの人々の魂を作りあげていったのであろうか。


 

 

ハングル事始め(隣の国のお話)②   岡田 弥生(アルト)

 


NHKの語学講座で「アンニョンハシムニカ(こんにちは)-ハングル講座-」が始まったのは1984年のことだそうです。この講座名を「朝鮮語講座」にするか「韓国語講座」にするか揉めに揉めた結果、「ハングル講座」となったそうです。日本の占領時代の問題、「朝鮮」を名乗る国、「韓」を名乗る国に分断された現実などから、「朝鮮語」としても「韓国語」としても、双方から反対されるため、本来は文字を示す「ハングル」を講座の名前にしたのだそうです。そのような事情がある言語名ですが、私が今、学んでいるのは韓国の映画やドラマ、音楽なので、言語名を言う時は、「韓国語」と表すことにします。

さて、「ハングル」というのは、あの○や|の組み合わせの文字のこと。한글と書きます。今から500年ほど前に、世宗大王(セジョンデーワン)が学者たちに命じて創らせた文字です。書き言葉が漢文しかなかったので、庶民の大半は読み書きが出来なかった。そんな庶民を哀れんだ王様が、誰もが書いたり読んだりできる文字を創らせたのだそうです。

母音10 子音14の組み合わせで成立する表音文字なので、ローマ字で自分の名前を書くみたいに、ハングルで書くことは、誰にでも簡単にできますが、読むとなると、発音規則があれこれあって、簡単ではありませんし、活用があれこれあるので辞書を引くことも容易ではありません。だから、柔軟さを失いつつある前期高齢者の脳みそでは、読み書きのハードルは、けっこう、高いです。

 というわけで地道な学習を回避し、ドラマや映画に没入したわけですが、しばらくすると「音」と字幕がつながってくるようになり、初級の教科書の内容が理解できるようになり、日本語との共通点がたくさんあるなと感じています。

☆「マシッタ!」 は、「美味しい~」 という時に使いますが、

「美味しいね」なら「マシンネ」  「ね」と「ネ」は、まったく同じですネ。

「美味しいですね」なら「マシンネヨ」 「美味しそう」なら「マシケッタ」 

☆ 「ナルシガ チョアソ キブンギ チョッタ」(天気がいいので、気分がいい)

ナルシ(天気)ガ(が)チョア(いい)ソ(ので) キブン(気分)ギ(が)チョッタ(いい)

 どうです? 語順通りに逐語訳できます。キブンは漢字語の気分なので訳も不要。

☆「サランヘ」(愛してる) 英語でlove と言ったら「愛」であって、愛してると言いたければI love you と主語・目的語が必須ですが、韓国語では日本語と同様、ワタシもアナタも言わずに、サランヘ。

☆ 初対面や年上の人には、丁寧な言葉遣いをする。「言う」と「おっしゃる」、「食べる」と「召し上がる」みたいに言葉そのものが違うこともあれば、「行く」「行かれる」みたいに活用の変化になることもあります。(上記の「マシンネ」よりも「マシンネヨ」が丁寧で、「ヨ」というのが、「です」「ます」にあたります)

 最後に、ことわざをひとつ。  「シージャギ パニダ」(始まりが半分だ)

 「やろうと思った時、すでに事の半分かたは達成したようなものだ」ということわざだそうです。なんとも明るい捉え方で、気に入っています。もちろん、その半分は、ずーっとずーっと半分のままなのですが、それでも。

(参考図書:茨木のり子著『ハングルへの旅』(朝日文庫)素晴らしい本なので、未読の方は、ぜひ!)


 

 


【編集後記】合唱練習自粛の間、ムキになって毎月のようにTUTTIを発行してきました。勝手に毎月出して、「原稿ください~」と呼びかけ続けて、お騒がせいたしました。

10月末から練習再開、まだまだ様子見の段階ですが、顔を合わせ、声を合わせることができるようになるので、TUTTIの発行回数もゆるやかにしようと思います。もちろん、「遠い国物語」の連載もありますから、年内には次号を、と思っています。(岡田)

ページのトップへ戻る