機関紙(TUTTI) | 軽井沢シンフォニックコーラス

浅間山紫

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REPERTOIRE OF KARUIZAWA SYMPHONIC CHORUS
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軽井沢シンフォニックコーラス

TUTTI  第36号     2022.3.28

 

 

飛び出たものは         大林 義博(テノール)

 

「…何かが足元から急に飛び出して…そこにはタマゴがあって…すぐに来て見て…」と別荘の庭の草刈作業をしていたM氏の非常に驚いた声が携帯電話にあったのは二十年前の夏のことでした。

飛び出したのは、たぶん卵を抱いていたキジの雌で、M氏の肩掛け式草刈り機の高速で回転する鋸歯の円盤が直前に来るまで、じっと我慢していたであろうこと、またM氏は東京生まれの東京育ち、会社を退き軽井沢に移り住んでまだ五年目。初めての出来事でさぞビックリしただろうなどと想像しながら現地に向かいました。

思ったとおりそれはキジの巣で卵が十個産んでありました。カラマツの木が点在する洋芝の庭は、帰化植物のカモガヤ(牧草のオーチャードグラス)やギシギシなどが混在した草丈30㎝内外でその草は想像していた通り巣の所まで刈られていました。

「もう少しで羽根まで切ってしまうところ…飛び出した鳥はキジだと分かったけど何しろ突然だったから…。」興奮からようやく落ち着いてきたM氏の報告。

私も数回キジの巣に出合いました。いずれも足元から親鳥が飛び出し、卵は十個前後でした。やはり「焼け野の雉子、夜の鶴」の諺通りです。親鳥がヒヨコを連れているとき、傷付いた動作で横倒しになって羽根をバタバタとさせて敵の目を引くことは、砂地で子育て中の「ヨタカ」でも経験しました。

暖かい日が数日続いたと思ったら、今日は朝から雪降り、四月も直近になって、キジも朝早くから縄張り宣言か、遠くから鳴く声が聞こえています。

 

 

浅 間 山          伊藤 綽子 (アルト)

皆さんは“浅間山”を眺める時、何処から眺めるのがお好きですか?

私の一番好きなビユーポイントは、佐久まで出かけて軽井沢に帰る時、御代田の小田井北の信号を右折すると、両手を広げた浅間山が見えます。この姿が気に入り、軽井沢に家を持つきっかけになりました。

二番目は黒斑山から見る浅間山です。車坂峠に車を止め、トーミの頭から北へ、外輪山の尾根伝いに黒斑山へのコースから見た浅間山は大きく、頂上から裾野は美しいシルエットです。また、トーミの頭から蛇骨岳までの外輪山の内側斜面はかなりの角度があります。黒斑山への2回目の登山の時、下りで大きい石に躓き、右手首を複雑骨折してしまい、千曲病院で手術を受けました。残念ですが、以後登っておりません。

 三番目はスーパーのツルヤの向かいにある中央歯科医院のガラス張りの診察室から見る浅間山です。岩崎医師は「浅間山に惚れ込んで、診察室から見えるように医院をつくりました。最近は家が建て込んできたし、新幹線のレールガードが見えて残念です」と言っておられました。歯の治療は少々気後れする私を、雄大な浅間山が和ましてくれます。

 

今から約50年余り前、やっと職場になれた頃に友人から「ワンゲル部で“秋の浅間山ハイキング”があるので、参加しませんか」というお誘いを受けました。その数年前からスキーを初めていて、オフのスポーツにと思い参加させて頂くことにしました。残念なことに当時の記録が全く残っておらず、“裾野の落葉松がとても美しかった”というかすかな記憶だけがずっとありました。40年後、軽井沢に住むようになってから、思い出の場所に行ってみました。天狗温泉に車を止め、火山館を経て湯の平を歩いて「確かに、この景色はあの時の…」と思いました。黄色の落葉松もそのままでした。

 我家は中軽井沢からR146沿いの東に少し入った所にあり、小浅間山は近いので度々行きました。“浅間山の小さな瘤”のような存在で、気軽に登れます。森林限界を越えて石や岩ばかりの山道になって間もなくピークがあります。何時だったか、何羽もの“ノスリ”が悠々と飛んでいるのを見かけました。

 我家の周囲は落葉松の林で、その間に家が点在しています。夏場は落葉松の枝や葉に邪魔されていた浅間山が、冬場だけはよく見えます。いつもより少し早く起きた朝、山に目を向けると、雪を被って“ピンク”に染まった浅間山が見えました。着替えを済ませて再度見てみると、もう朝日を浴びた浅間山に変わっていました。

 軽井沢に家を持った翌年の9月1日に浅間山から中程度の噴火がありました。直ぐに来軽することができず、9月22日になって数日滞在しました。ベランダの手摺りや庭の木々の葉に灰が積っていました。火山灰を手に取ると、とても細かい粒子で、その外側にトゲトゲをまとっているような初めての手触りです。しかも粘着性で、簡単には拭えない性質のようでした。危険な活火山の麓で暮らしていることを、常に心に留めて置かなければならないと感じています。

 

【編集後記】春の訪れとともに、軽井沢の自然満喫の2篇をお届けできて、幸せいっぱいです。♪かるい~ざわ♪の歌を、みんなで歌える時が一日も早く来ますように(岡田)

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